こちらをご覧になることはないと思って書いているけど、大きなお世話でごめんなさいね。
仲のいい同僚と、職場の人の話をしていて、名前を知らなかったので、「ほら、あの人。えーっと髪の毛がこの辺まであって、能面みたいな幸薄そうな人・・・」と表現してしまった女性がいました。(ごめん)
私の中で、違和感があった人。なんとなく気になる存在。姿勢が良く、ものすごく凛としていて、仕事ができそう。お洋服もだいたいボディラインがわかるフィット感に、攻め気味のミニスカート。はやりに流されていないファッション。明らかに強い女性だろうという印象なのに、なんだか幸薄そう。顔のパーツが動いたところを一度も見たことがなかった。ここまで無表情な人、いる??誰とも慣れ合うつもりはなく、話しかけてくれるなオーラがビシビシ飛び出していた。
お茶のできる休憩室である時、話しかけられた。おいてあったお菓子について、一言か二言。えっ!?と思ったけれど、今思うと、そのころからか顔つきが変わってきたように思う。無駄話をする雰囲気はないけれど、拒絶オーラは消えていた。
彼女、なんか変わったな。
(こりゃ無理だ、と思う合わない人がたくさんいる中で)合わないという印象はない。けれど、あえて話すほどの距離感でもない。何も知らなかったけれど、風のうわさで、離婚されたのだと聞いた。うん。納得。憑き物が落ちて、彼女本来の美しさが出てきたんだな。
違和感がなくなって、彼女のことが気にならなくなった。
今も変わらず、姿勢が良く、よそ見せず、なれ合わず、まっすぐ前を向いて歩いている。その服どちらで見つけてこられたの?というはやりに流されていない装いも、凛としていて彼女らしさに見える。もう幸薄そうなところはみじんもない。やはり変わらず愛想を振りまくことはしないけれど、笑顔になったときはドキッとするほどかわいい人だった。
動きにくそうな大きな鎧を脱いだら、実は筋骨隆々シックスパック。そんな感じ。
「おめでとう」
背中にこっそり声をかけました。